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Keiser Functional Trainerと加圧トレーニングの組み合わせによる生理学的効果を考察します。

2025.03.04

Keiser Functional Trainerにおける空気圧負荷と加圧トレーニングの組み合わせは、筋緊張の持続・代謝ストレスの増加・成長ホルモン分泌の促進という点において、筋肥大および筋力向上に有益な相乗効果をもたらすと考えられます。

 

今回のブログでは、この組み合わせが生理学的にどのような影響を及ぼすのかを考察してみます。

 

 

1. Keiser Functional Trainer による筋緊張の持続と代謝ストレスの増加

 

 

Keiser Functional Trainerは空気圧を用いた負荷制御を特徴とし、従来のフリーウェイトやウェイトスタック式マシンとは異なる負荷特性を持ちます。

 

 

(1) 筋収縮中の緊張持続

Keiser Functional Trainerの空気圧負荷は、等速性に近い負荷特性を持ち、運動の全範囲において一貫した負荷を維持します。

 

これにより、以下のような特性が得られます。

 

従来のウェイトマシンでは動作の位相によって負荷が変動する(例:トップポジションで負荷が抜ける)が、Keiser Functional Trainerではそれが抑制されます。

 

この結果、筋肉が収縮を継続する時間(Time Under Tension, TUT)が増加し、筋内の代謝ストレスが高まります。

 

 

(2) 代謝ストレスと乳酸蓄積

Keiser Functional Trainerによる筋緊張の持続は、代謝ストレスの増加をもたらし、筋肥大の重要な因子の一つとして作用します。

 

代謝ストレスの主な要因としては以下が挙げられます。

 

 

酸素供給の制限(局所的な低酸素状態)

 

筋肉が収縮し続けると、毛細血管が圧迫され、血流が一時的に制限。

 

これにより、好気性代謝が抑制され、解糖系が優位となります。

 

乳酸および水素イオンの蓄積

 

解糖系の亢進により乳酸(lactic acid)が蓄積。

 

乳酸の蓄積は筋肉内のpHを低下させ、筋疲労の原因になります。

 

 

成長ホルモン(GH)の分泌促進

 

乳酸は下垂体からの成長ホルモン(GH)分泌を促進することが報告されています。

 

GHは筋タンパク質合成の促進、脂肪分解の促進といった作用を持ちます。

 

 

2. 加圧トレーニングによる代謝ストレス増大と筋肥大メカニズム

 

加圧トレーニングは、四肢に適度な圧力をかけることで静脈血の還流を制限し、低酸素環境を人為的に作り出す手法です。

 

この状態で低負荷トレーニングを行うことで、筋肥大を促進する効果があります。

 

 

 

(1) 低酸素環境と速筋動員

 

通常、筋肉の活動時には酸素供給が十分な場合は遅筋線維(Type I)が優先的に動員。

 

しかし、加圧トレーニングによって局所的な低酸素状態が作られると、以下のメカニズムが働きます。

 

 

遅筋線維の酸素供給が制限され、速筋線維(Type II)の動員が促されます。

 

速筋線維は筋肥大しやすいため、低負荷でも高負荷トレーニングに匹敵する筋肥大効果が得られます。

 

(2) 筋内環境の変化と成長ホルモンの分泌

 

加圧トレーニングによって筋内の血流が制限されると、筋肉内に代謝産物(乳酸、無機リン酸、水素イオン)が蓄積し、これが筋肥大のシグナルとなります。

 

乳酸の蓄積が成長ホルモン(GH)分泌を増加させます

 

乳酸は下垂体を刺激し、GH分泌を促します。

 

 

GHはIGF-1(インスリン様成長因子-1)の産生を促し、筋タンパク質の合成を促進させます。

 

 

 

mTOR(mammalian target of rapamycin)の活性化

 

加圧トレーニングは筋細胞の膨張を引き起こし、機械的ストレスを感知するmTOR経路を活性化し、筋タンパク質合成を促進させます。

 

3. Keiser Functional Trainerと加圧トレーニングの相乗効果

 

Keiser Functional Trainerの空気圧負荷による持続的な筋緊張と加圧トレーニングの静脈還流制限を組み合わせることで、以下のような相乗効果が得られると考えられます。

 

 

(1) 筋緊張の持続 × 低酸素環境の相乗効果

 

Keiser Functional Trainerにより筋肉が弛緩するタイミングが少なくなり、TUTが長くなります。

 

加圧トレーニングにより血流制限が加わることで、酸素供給が抑えられ、代謝ストレスがさらに増大します。

 

 

(2) 代謝ストレスの増大と成長ホルモンの分泌

 

Keiser Functional Trainerによる乳酸蓄積と加圧トレーニングによる血流制限が相乗的に作用し、成長ホルモン分泌を最大化。

 

GHの増加は筋肥大だけでなく脂肪燃焼を促進し、減量期のトレーニングにも有効です。

 

 

 

(3) 高齢者・リハビリ・競技アスリートへの応用

 

関節への負担が少ないため、高齢者やリハビリ患者の筋力維持にも適用可能。

 

ゴルフや野球などの爆発的パワー向上に応用可能(加圧トレーニング+高速動作をVBTで管理)。

 

 

 

4. 結論

 

Keiser Functional Trainerと加圧トレーニングを組み合わせることで、筋緊張の持続・低酸素環境・代謝ストレスの増加が同時に発生し、成長ホルモン分泌の最大化と効率的な筋肥大を促進できます。

 

この組み合わせは、高負荷トレーニングと同等の効果を低負荷かつ安全に得る手段として、リハビリ・アスリート・一般トレーニングにおいて有効であると考えられます。

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