~栄養の基本(ダイエットのために知っておきたいこと)~㉒
2022.01.10
ナイアシンについて
ナイアシンはビタミンB群の一種(ビタミンB3)でニコチン酸とニコチン酸アミドの総称で、糖質、脂質、タンパク質からエネルギーを産生する過程において補酵素として重要な役割を果たしています。
また、必須アミノ酸の一種であるトリプトファンから合成されトリプトファン60mgからナイアシン1mgが作られます。
通常は不足することはありませんが、アルコールの代謝にナイアシンが使われるためアルコールを大量に飲む方はナイアシンが不足します。
また、アルコールの主成分であるエタノールがアルコール脱水素酵素の働きによってアセトアルデヒドになり、アルデヒド脱水酵素の働きによって酢酸になります。
そして、酢酸は血液によって、筋肉に運ばれTCAサイクルに入りATP(エネルギー)の材料になり、二酸化炭素と水になり分解されます。
ここで問題なのがアセトアルデヒドです。
このアセトアルデヒドは毒性が高く、顔が赤くなったり、二日酔いの原因や頭痛、吐き気の原因になります。
そこでナイアシンの働きですが、ナイアシンはエタノールの代謝で使われるアルコール脱水素酵素、アルデヒド脱水素酵素の材料である「NAD」を作り出します。
ナイアシンを充分に摂取しておけば、その生成物であるNADがアルコール(エタノール)が速やかに分解し、悪酔いや二日酔いを防ぎやすくします。
NADは体内で500種類あまりの酵素に利用されているため、もし欠乏すると皮膚炎、下痢、認知症、皮膚のただれ(ペラグラ)などが生じ、放置すると死に至るともいわれています。
そして、このNADが寿命を延ばすカギとなる物質であることが最近の研究で分かってきました。
また、このNAD濃度は年齢とともに低下するもので、そのためナイアシンを大量に摂取すればいいかというと、実は問題があります。
過剰に摂取すると、ナイアシンフラッシュと言って皮膚が真っ赤になったり、嘔吐や下痢といった消化器の病気や、なにより肝機能障害が起こります。
そこでまた研究が続き、ナイアシンの一形態であるNR(ニコチンアミドリボシド)がNADの前駆体であることを発見し、NRの摂取の場合はナイアシンの大量摂取による副作用がないことがわかりました。
また、別のNADの前駆体になるNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は、より安定しアンチエイジング効果が高いことが研究によって判明しています。
しかし、まだまだ高価なサプリメントな為、もう少し価格が下がってくることを期待したいです。
ナイアシンの摂取基準は成人男性で14~15mgNE、成人女性で11~12mgNEで耐容上限量は250(65mg)~350mg(85mg)になります。()内はニコチンアミドのmg量です。
また、摂取基準の単位mgNEはナイアシン当量といって、ニコチン酸(mg)+ニコチン酸アミド(mg)+トリプトファン量(mg)になります。
牛レバー 50g 7.0mg
豚ロース 80g 6.4mg
たらこ(1/2腹)40g 19.8mg
カツオ 100g 19.0mg
サバ 80g 8.3mg
落花生 30g 5.1mg
魚、肉、レバー、種実に多く含まれます。
日本人の場合の標準的な食事の場合欠乏症はあまりありません。
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