解剖学から考えるヒップアップエクササイズ
2015.11.14
解剖学から考えるヒップアップエクササイズ
加圧トレーニング中にお客様からご要望の多いものとして、「ヒップアップを目的とした加圧トレーニングをお願いしたい!」というものが多いです。
加圧トレーニングを行うとき加圧ベルトを巻いているのは大腿部の付け根になりますので、直接的な臀部へのトレーニング方法としては加圧ベルトを巻かない状態でのトレーニングになります。
そこで当施設のヒップアップのためのトレーニング方法を解剖学的な観点から説明させていただきます。
まず、大きくわけて2種類のトレーニングを行っております。
①骨格から考えたトレーニング
②筋肉から考えたトレーニング
と目的に沿ったトレーニングになります。
一般的な女性誌やネットの情報で一番忘れられているのが、骨格ラインからヒップアップを考えることです。
美しい姿勢を作ることにもつながるのですが、基本的には正しいニュートラルポジションを作ることが出来るかということです。
また、もう少し詳しく見ていくと下部腰椎から仙骨部にかけて綺麗なアーチが描けているかということです。
よく見られる悪い傾向としては比較的下部腰椎部から仙骨部(骨盤)にかけてフラットな方です。
こういう骨格のまま例えしっかりとした臀部へのエクササイズを処方したところで、理想とするヒップラインはできないと思います。
左右対称の骨盤であることは基本として、腰椎カーブが理想的であることが必要になります。
簡単なチェック方法として、腰のカーブが壁に背中を当てた状態において壁と手のひら1枚分の隙間に持っていき、骨盤が床と垂直になることです。
(骨盤の前の出っ張り部である上前腸骨棘と恥骨部の3点で結ばれた三角形が床と垂直です。)
では、理想のカーブになるのはどういう方法があるのでしょうか。
まずは、仙骨の適度な前傾(nutation)を作るということです。
骨盤の生理学的な仕組みとして仙骨前傾位において仙結節靭帯、仙棘靭帯、骨間靭帯などが緊張し仙腸関節の圧迫に繋がり骨盤が安定した締りの位置となります。
医学的に言うと難しくなりますがclose-packed positionと呼びます。(逆に仙骨後傾位においては緩みの位置となり腰痛の原因の一つにもなります。)
その仙骨前傾位にするために必要な順番があり、仙骨の可動域を上げた後に前屈を促すトレーニングをします。
仙骨の可動域を上げるために必要なのが、骨盤底筋群を緩めることです。その後、動きやすくなった仙骨を呼吸を利用しながら「仙骨のうなづき運動」を行い、多裂筋の強化とともに仙骨の前傾を作っていきます。このあたりの方法は様々なツールも必要になりますので詳細は省かせていただきます。
このような形でまずは正しい骨格をつくるところから始めます。
その後、臀部周辺の筋力トレーニングになります。
様々な臀部へのトレーニング方法を読者の方はご存知だと思いますが、必ず注意していただきたいポイントがあります。
それは正しい方向で体を動かし、適切な負荷で行うということです。
生理学的に例えば片周りの筋肉は男性と女性では同じように筋力トレーニングを行っても筋肉のつき方は差があります。
肩周りには男性に比べ女性は筋力アップのために必要なホルモンに対する受容体(レセプター)が少ないと言われておりますが、脚部にはあまり男女差がないと言われております。
すなわち高負荷のトレーニングを行うとヒップアップのトレーニングを行うことにより、下半身の筋肉太りにもつながる可能性があります。
また、望ましくない筋肉が必要以上に大きくなったりするのも注意が必要になります。
臀部の内旋状態での過度な運動は大腿筋膜張筋の強化に繋がり、外側に張り出した形の脚になりヒップアップの目的以外のコンプレックスを作ることにもなります。
機能解剖を考えた上で深層外旋六筋や中臀筋後部繊維、内転筋群、腸腰筋などの股関節のインナーマッスル部を鍛え、それに加えて大臀筋部等のトレーニングが必要になります。
このようにして、当施設は加圧トレーニングだけにこだわらず、正しい骨格作りを考えた上で美しい筋肉をつけるといった考えをもとにして加圧トレーニング以外のプログラムを組む必要があると考えております。